京都でお年寄りと話をしていて戦争のことが話題になる。『この間の戦』と言われると、普通は「太平洋戦争」のことかと思いますが、京都では「蛤御門の変」のことを言うそうです。
京町家は「蛤御門の変」の時にずいぶんと焼けてしまったそうです。現在も残っている京町家は戦の後に建てられたものだそうですから、古いものでも築150年くらいのようです。
京都市の調査では5万件近い町家があるそうですが、空き家が10%程度だそうで、案外と大事にして使われていることが分かります。
リノベーションの対象となるのは、ほとんど築年数が相当たった建物になりますが、築60年ぐらいになると所謂「古民家」の部類に入ります。
京町家も言わずもがな古民家の仲間であり、古民家再生というコンセプトで再生事業に取り組んでいる事例も多くあるようです。
その中には、リノベーションによって住宅から「宿」へと用途を変えて利用されている事例がたくさんあります。
「旅館業法」の営業許可を得て、町家のオーナーから物件を預かり『京都で暮らす』を一日体験できる町家旅館を複数運営している会社もそんな事例のひとつです。
参照 ⇒ 京町家の宿
京都の町家の魅力のひとつが「通り庭」です。
町家の敷地は間口が狭く奥に長い「ウナギの寝床」と言われますが、玄関から奥までつづく「通り庭」が各部屋への導線であり、炊事場が配置される機能的な空間でもあります。
通り庭は「人」も通るし風も通ります。夏の暑い京都では通風は無くてはならないものです。床は土間になっており夏でも涼しく感じ、炊事場にある火袋が通風を更に効果的にしています。
京都で暮らした人たちの知恵が町家という型式の中に活きているのがよく分かります。