東日本大震災から6年になります。熊本地震からはまもなく1年が経過しますが、大地震時の建物被害を低減する方法の一つとして、制振工法の普及が広まっています。免震工法よりもコストがかからず、既存の建物にも利用できる工法として、工法そのものも改良されたり新しいものが生まれてきています。
東京の住宅資材販売企業 江戸川木材工業(株)では、HIダイナミック制振装置を販売していましたが、先月、日立オートモティブシステムズと共同開発した、新型の「柱取付型オイルダンパー制振装置」を発売しました。
新型の制振ダンパーは、これまでの土台と桁に固定する方法と異なり、柱に取付けるタイプであり、取付ける部位が、柱の土台に近い床面あたりと桁に近い天井面あたりとなっており、つまり、天井を床を解体することなく取付けることができます。
既設の住宅に簡単に取り付けられる制振ダンパーとしては画期的な製品です。
制振ダンパーのしくみ
地震によるエネルギーを吸収して別の形のエネルギーに変換して、揺れの力を吸収するのが制振ダンパーの原理です。
地震のエネルギーを吸収するのは、ゴムや油圧やスプリングといったものを利用して、主に熱エネルギーに変換します。
エネルギー保存の法則という言葉を覚えていると思いますが、エネルギーそのものが無くなることはありません。
振動とか横揺れのエネルギーを熱エネルギーに変えると、エネルギーを吸収した物体の温度が上がりますが、振動・横揺れというエネルギーは低減されるので、地震による直接的な被害を防ぐことができます。
制振ダンパーの考え方は超高層ビルの構造設計で生まれたものですが、木造住宅の耐震性を高める方法として、コスト的にも有利な面が評価され商品開発が進められてきました。
耐震補強リフォームでは積極的に採り入れたい技術です。