建設業界の人材不足が深刻になってきています。
要因のひとつが人口減少ですが、人口減少はすべての産業にも影響します。建設業の特殊事情として熟練者の引退の増加と、若年層の入職減少が上げられています。
経験豊かな熟練上位技能者の多くは団塊世代、もしくは50代が占めていますが、あと10年もすると団塊世代は確実に引退し、それに続く世代も引退予備軍です。
リーマンショック以降、建設投資が激減し業界では『仕事が無いから人材育成も出来ない』という状態がつづいてきました。
仕事が無ければ売上はありません。売り上げが無ければ社員の給与も払えないし、下請の協力業者へも仕事を回すことができません。社員や職人を新規雇用する余裕などなく、下手をすればリストラしないと会社そのものが危ない。
こんな経営状態をずっとつづけているわけです。
さらに、住宅業界では「施工方法の合理化」がどんどん進み、難しい技能が必要な仕事はどんどん減っています。
『この道40年のベテラン職人』しか出来ないような内容の現場など今はありません。
誰でも施工できるように、難しい加工は建材メーカーの工場でやり、現場では昨年職人になったばかりの人が取付・組立をやっているという姿を見ることがすごく多くなりました。
つまり、高度な技術は必要なくなってしまったのです。
誰でも出来るような仕事しかありませんから、賃金は安く済みます。
賃金が安いと誰も職に就こうとしない・・・完全な悪循環に陥っています。
新築住宅では『職人の腕の見せ所』という仕事はもうありません。
ところが・・・住宅リフォームの現場ではかなり状況が変わります。
リフォーム現場で求められる理想的な職人像とは次のようなものです。
- 難しい仕事を実現してくれる高い技能を持っている
- 居住中の施主ときちんとした人間関係を作ることが出来る人間性
このような優秀な職人が極端に減っています。
絶対的な人材不足によって、優秀な職人を育てる環境が失われています。
このままいくと、職人不足、特に優秀な大工さんがいないが為に、リフォーム工事が出来なくなってしまうという日がいつかやって来るように思います。