『誰も住んでいない家は傷みやすい』とよく言います。
では、なぜ傷みやすいのでしょうか?
誰も住んでいない方が、床が傷つくこともありませんし、誤ってモノをドアにぶつけることもありません。
建具の開閉もしないから金具が擦り減ることもありません。
換気扇を回すことも無いですからモーターの消耗はありません。
こう考えると、住んでいない方が傷まないように思うのですが、残念ながら空き家はやはり・・・傷みやすいのです。
故障や不具合は突然やって来る
大きな台風が来て屋根と壁の境あたりから雨水が侵入し、わずかですが室内に雨漏れがしてきました。
住んでるとすぐ気がつくのですが、住んでいないと分かりません。
年に数回、定期的に点検をしていても、わずかな雨漏れでは痕跡が残っていないとまったくわからないものです。
たとえわずかな雨漏れでも構造体は少しずつ湿気を帯び、やがて腐り始めます。
湿気は木造の建物にとっては大敵です。
蟻というと“シロアリ”の被害を思い浮かべますが、普通の蟻でも湿気を帯びた木材は最適な環境になります。
いつのまにか構造体に巣を作られてしまうと、いかに耐震構造の建物でももろいものです。
木造住宅の寿命を縮める換気不足
空き家が傷みやすい最大の理由が換気不足です。
誰も住んでいませんので、窓を開放することもできず、換気扇のスイッチを入れっ放しにすることも難しいでしょう。
そうなると、室内の空気はよどんだままです。
冬には気温が下がりますので、わずかな湿気も結露の原因になります。
畳・襖・紙障子・カーペット・・・湿気を溜めやすい材料が日本家屋では多く使われています。
床下の乾燥具合がよくない場合には、室内の湿気はかなり多くなります。
木造の建物は、構造体が乾燥していると100年、200年ともつものですが、逆に乾燥状態が悪いと極めて短い期間の耐久性能しかありません。
人が生活しているからこそ、空気がよどむことなく、木材にとって最適な環境を維持することができます。
“もったいない”と感じるかもしれませんが、最低のアンペア数で電力契約をし、換気設備を動かしておくことが、空き家を長持ちさせることになります。